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政治家とネクタイ

 今回のお話はトピックと言うよりコラムなんですが、政治家とネクタイのお話です。
 最近では日本でも政治家のおしゃれに関してとやかく言われるようになってきました。 ま、もちろん政治家を選ぶ基準はその政策や信念に基づくのでしょうが、 それと同じくらいに政治家個人に対する漠然とした「イメージ」が重要視されているようにも思われます。

 そういった中で、おしゃれな政治家はスマートで、なんとなく「デキる」ような気がする、 というのもあるかもしれません。
 あ、ちなみにこのサイトはネクタイのサイトなので基本的に男性の政治家について考えております。 別に女性の政治家を無視してるわけじゃないですよ、念のため。

 もちろん「服装にばっかり気を使ってる政治家なんて軽薄そうで好かん!」という方もいらっしゃるでしょうから、 選挙の時にはそれこそTPOにあわせた使い方をして下さるとおもしろいですよね。


 それでは総理大臣を経験された実際の政治家の方のネクタイに関する逸話を少々。 いずれも自民党の方の話になってしまいますが別に自民党支持者というわけではありません(^^;


 まずは海部さん。
 かつて三木内閣のときにスト権ストの問題で官邸に詰めっきりになっていて、 ずっと水玉のネクタイをしていたそうです。それが何度もテレビ中継に映されて、 それ以来支持者の方から「水玉が好きなのですか?」とネクタイを送られるようになったとか。 いまではすっかり同氏のトレードマークになってるそうです。
海部俊樹氏のホームページにこのお話が載っています。

 水玉のネクタイといえば英国の名宰相、ウィンストン・チャーチルという人がいます (もっとも彼の場合は蝶ネクタイらしいですが)。 彼の場合は自分の紳士としてのスタイルがあって、 それの一つが水玉のネクタイであったということですから、 さすがに海部氏がこの真似をしてるわけではないでしょうね。


 お次は森さん。
 といっても首相になる前の幹事長時代の話です。
 選挙ポスター用の写真を撮る際にネクタイの結び方がウィンザーノットだったのを見たカメラマンさんか誰かに、 「今時そんなのは流行らない、古くさく見える」と言われて結び方を変えさせられたとか。
 それに対して森さんは「政治家というのはネクタイの結び方一つ自由にできないのか」と憮然としていたそうです。 まぁ、森さん自身の美学に基づいてウィンザーノットにしていたのか、 それともそれしか結び方を知らなかったのかはわかりませんけどね :-)

 たしかにこのウィンザーノット、重厚な結び方で伝統的な感じもするものです。 白いワイシャツに赤いネクタイでこの結び方をすれば完全なジョン・ブルスタイルですからね。 私としてはあの体格のいい森さんには良く似合うような気もするのですが。


 最後に橋本さん。
 先日現首相の小泉さんと総裁選を行ったときのことです。
 あるテレビ番組でファッションの評論家みたいな方が 「あぁ〜、橋龍あれじゃだめですねぇ、アイビーストライプのネクタイなんかしちゃって、 慶応ボーイの感覚が抜けてないんですかね。あれじゃ庶民は共感できませんよ」というようなことを おっしゃっていました。

 アイビーストライプというのはレジメンタルストライプやクラブストライプのような縞模様の一種で、 それらの模様が連隊(regiment)やクラブのイメージカラーであったのに対し、 デザインを優先して作られたもののことを指します。
 このアイビーストライプのタイは日本では60年代に流行った(管理人はLiveで見てないのでわかりませんが(^^;) アイビールックのアイテムの一つでした。
 それでアイビールックが元々大学生のスタイルであったことからして、「慶応ボーイの〜」という批評が出てきたのでしょう。

 もっとも、一般の人たちがあのネクタイを見て 「あ、アイビーストライプだ。なんだあいつ慶応出身を自慢してるのか? これだからお坊ちゃんはいやなんだ」などと考えるとは思えませんが、 小泉さんと比べてなんとなく育ちのよい固い印象を与えてしまったのかもしれません。 それが「改革」のイメージからは遠かったのでしょう。

 選挙というのは信念や政策もさることながら、 その時々の時勢に合わせて必要とされるスタイルをとることも大事なのかもしれませんね。


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